カルトの傷と教訓




『坂本一家殺害事件 遺体発見から21年 同僚らが追悼』
オウム真理教の幹部らに坂本弁護士一家3人が殺害された事件で、3人の遺体が見つかってから今月で21年になります。11日は同僚の弁護士たちが長男の龍彦ちゃんの遺体が見つかった長野県大町市を訪れ、3人を追悼しました。
坂本堤弁護士と妻の都子さん、当時1歳だった長男の龍彦ちゃんの一家3人は、平成元年にオウム真理教の当時の幹部らに殺害され、このうち龍彦ちゃんの遺体は、今から21年前の平成7年9月、大町市の山中で見つかりました。
11日、坂本弁護士と同じ事務所に所属していた同僚の弁護士など合わせて19人が大町市を訪ね、現場近くに設置された慰霊碑の前で哀悼の意を表しました。このあと一行は、龍彦ちゃんの遺体が見つかった場所に向かい、花を手向けて一家をしのんでいました。坂本弁護士の事務所の先輩の小島周一弁護士は「ここに来ると事件に対する怒りが沸いてくる。昔のことだと終わらせるのではなく、なぜ教団が生まれてしまったのか、その背景を考え続け教訓にしていくべきであり、事件を知らない世代の人たちにも伝えていきたい」と話していました。
9月11日 14時09分 NHK NEWS WEB
オウム真理教については、特異ではあるが、人畜無害の原始的ヨガ集団と見る一部の浅はかな宗教学者らもいる一方、社会の大半には、坂本弁護士一家の行方不明の件に関して、背後に教団の関与を疑う空気が公然とあって、得体の知れない不気味さが漂っていました。
しかし、「ショーコー♪ショーコー♪ア・サ・ハ・ラ・ショーコー♪」という、教祖自らの歌と、オウムシスターズのダンスに象徴されるようなアホカルトぶりが、危機への認識を曇らせていた側面があったように感じます。
結果、オウムの反社会性は暴走し、反対者の暗殺や暗殺未遂事件の続発、果ては化学兵器による無差別大量殺人(テロ)という、想像を超えた被害を社会に与えることとなりました。
この事件から、我が国は真に教訓を学んだでしょうか?
カルト問題が、政治的に見放された昨今の様々な事例を見るにつけ、ほとんどの政治家は学んでいないようです。
世間的には、当時の世界全体にあった、ブームのような精神世界や宗教的なるものへの関心が薄まっており、ある意味そこに事件の影響が静かに表れていると考えることもできるかも知れませんが、狂信を生む土壌やプロセスについての根本的理解は遅々とした歩みで、宿題は残ったままです。
一方で、世界では具体的な動きがあります。


日本発のカルトが、他国で国益を損なう暗躍を続けているというのに、カルト問題に対処する法整備を行おうとするための、その前段階の社会的な合意形成さえ困難な道のりという、当事国として情けない状況ですが、少なくともこれだけは肝に銘じておきたいものです。
アホカルトと侮るなかれ。
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