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「植福」の黒歴史~教団幹部の言質を添えて~ ③-1

2018年(平成30年)、国は消費者契約法を改正し、その際いわゆる「霊感商法」も規制の対象としました。

「霊感商法」とは、1970年代後半から被害が表面化してきた反社会的カルトによる社会問題のひとつです。例えば「私は霊が見える。あなたには悪霊がついておりそのままでは病状が悪化する。この数珠を買えば悪霊が去る」とか、「私には未来が見えるのだが、このままでは3年後に子どもが家出をする。この壷を持っていれば、反抗期は収まるし、家出もしない」などと告げて勧誘するといったもので、統一教会をはじめとして、これまでに多くの事件が繰り返されてきました。

改正法では、「霊感商法」などを合理的な判断をすることができない事情を利用して契約を締結させる困惑類型の一つに追加し、「当該消費者に対し、霊感その他の合理的に実証することが困難な特別な能力による知見として、そのままでは当該消費者に重大な不利益を与える事態が生ずる旨を示してその不安をあおり、当該消費者契約を締結することにより確実にその重大な不利益を回避することができる旨を告げること」と定義しました。

これにより、従前であれば民法の「公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする」とした第90条(公序良俗)や、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」とした第709条(不法行為による損害賠償)などの、一般的で要件が抽象的な規定に被害者救済の活路を委ねるしかなかった状況に楔が打たれて、この「霊感等による知見を用いた告知」(消費者契約法第4条3項6号)に該当すれば、消費者にその契約の取り消しを可能としました。

ここに至って「霊感」という言葉がとうとう法律用語となり、多くの被害者を生んできた「霊感商法」という社会問題にようやく公的なメスが入れられたことは画期的で大きな前進でした。

しかし一方で、現状これも商品の販売等に関する「消費者契約」の範囲に限られ、カルト宗教の勧誘や布施等の宗教的行為は対象外となっており、カルト宗教側に、「信仰の問題は消費者問題とは別」とした詭弁を弄する余地を与える課題が残されていると思います。

【参考リンク】
紀藤正樹弁護士
ついに法律用語となった「霊感」商法。「霊感商法」を規制する消費者契約法改正案が成立

消費者庁
消費者契約法の一部を改正する法律

カルトの収奪手法と法体系の整備とは、ウイルスに対するワクチンや治療薬との関係のように、いたちごっこの闘いです。

「植福」の黒歴史~教団幹部の言質を添えて~ ②の記事では、脱会者が幸福の科学を訴えた「献金訴訟」について扱いました。このとき原告の請求は退けられたものの、幸福の科学に対しても、「一般に、入信後間もない信者に対し、多額の献金をさせて教団との関係を密にさせるとともに、教義を盲信する当該信者に対し、教団との関係断絶や教義上の不利益が罹ることをほのめかせて、更にその後の献金を求めたりする方法が、違法性の強い献金総通手段であることは疑いを容れず」という判事によって、裁判所から早々に“洗礼”を与えられるかたちになっています。

けれども、教団側が これで“回心”に至れればマシだったのでしょうが、そこは口先だけで反省のできない根っからの反社会的カルト幸福の科学で、この“学び”がより老獪なかたちに変質していくことになります。

特に、教祖の大川が長期の引き籠り鬱状態から次第に持ち直して、新たな万能感に満たされ、政治や教育事業含めた教勢拡大に再び乗り出した時期に併せて、教団の苛烈な収奪もまた表面化してきます。

「植福」(布施)という信仰上の概念を隠れ蓑にして高圧的に繰り返される幸福の科学の苛烈でえげつない収奪の実態を、教団職員らの言質をもとに明らかにする企画の第三弾として、今回はこの時期の「植福」勧進の現場の実例に、2009年3月に札幌で行われた「植福菩薩輩出の集い」という集会の記録にスポットをあててみたいと思います。

私はこの記録を、同じ社会の中にありながら壁一枚隔てたカルト宗教団体の内側で繰り広げられているリアルであるということのほかに、より深いカルト問題に潜在する構造的な複雑さを象徴する重要な資料のひとつだと考えています。

講演記録は約1時間のボリュームで、抜粋しても相応の分量になりますが、正確な状況把握と検討のために必要と判断し掲載していますので、どうか忍耐強くお読み頂ければと思います。

「植福」の黒歴史~教団幹部の言質を添えて~ ③-2に続く



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土矢浩士(ハンドルネーム:アルゴラブ)

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