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動き始める「宗教二世」問題

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【番組宣伝】NHKハートネットTV

「“神様の子”と呼ばれて~宗教2世 迷いながら生きる~」

「あなたは私の子じゃない。神様の子なのよ」

今、親が信仰する宗教の下で育った「宗教2世」と呼ばれる人たちが、SNSや漫画を通して声を上げ始めている。宗教こそが家族を幸せにし、教義を基軸とした教育こそが我が子のためになると信じる親によって、恋愛や進学、就労などさまざまな場面で自らの意志を奪われ続けてきたという。これまであまり語られることのなかった、“神様の子”として生きてきた人たちの声に耳を傾ける。

番組は、2021年2月9日(火)午後8時から放送です。
(再放送は2021年2月16日(火)午後1時5分からの予定)

なお、番組のHPには、番組へのお便りフォームがあります。放送をご覧になったあとは、ぜひ率直な感想を寄せて頂ければと思います。

【番組リンク】
NHKハートネットTV

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2017年2月に、若手女優の清水富美加が突如一方的な引退宣言を行って幸福の科学に出家するという騒動が起こりましたが、この際にはあのフジテレビでも、幸福の科学側に一定の配慮しつつも清水の件を引き合いにして、午前の情報番組の中で宗教二世の問題について特集を組んで放映したことがありました。

このときは芸能人のカルト信仰告白と出家というセンセーショナルな話題の中で、清水の不可解すぎる動機を巡って、その背景と考えられる家庭環境にフォーカスが当たったことを契機に、宗教二世という観点がクローズアップされたかたちでしたが、宗教二世という境遇に置かれた当事者の日常に繰り返される苦悩に関して、ようやく福祉領域の企画の中で真摯に扱われる段階に入ってきたかという、ほのかな期待感があります。

先ごろ公開された映画「星の子」は、新興宗教に傾倒する両親とその子供の日常を淡々と描くもので、主人公をとりまく様々な関係性に対して直接的に善悪の価値判断を訴えるものではありませんでしたが、宗教2世をモチーフにした作品に注目が集まったのも時代の流れかも知れません。

伝統的な既成宗教が家系の信仰となっている状況からすると、それこそ二世・三世、またそれ以上がいるもので、既成宗教と謂えども、長い歴史の過程で比較的マイルドになってきただけにすぎない部分を考えれば、宗教二世の問題も過去からずっと潜在的に存在してきたものであって、必ずしも”現代のカルト宗教”にばかり限った話とは言えないと思います。

もちろん家系の信仰を無批判に受け入れても、なんらストレスや問題に晒されることなく平穏に一生を過ごす方も少なからずおられることでしょう。ここではそうした幸せな方々はいったん脇に置かせて頂いて、子供の精神的葛藤や現実に直面する苦悩が、形式上の保護者の宗教的信条がしがらみとなった場合に注力が必要になるということです。

所謂「カルト宗教」に象徴されるような、とかく社会の常識と著しく乖離した独善的で極端な教義の影響を受けた親世代の歪んだ信仰は、自ずから子供らを私物化し、自己決定権を奪って特定宗教の箱庭に囲い込んでしまいます。「宗教二世(問題)」とは、そうした生活環境ゆえに無自覚に信仰を植え付けられた状況をあえて定義したものと考えれば良いでしょう。

そして、そうした宗教にありがちな内集団の論理や、個々の家庭内の問題という閉鎖性から、社会的になかなか見えづらく、或いは見て見ぬふりされてきたものが、近年になって当事者がSNS等で自ら直接発信する手段を獲得したことで、ようやくその声が広く社会に届くようになり、軽視し難い実質的な人権侵害(虐待)の類型として、問題の深刻さが認識され始めた側面があると思います。

また、脱カルト対策の分野では、こうした宗教二世の問題を「スピリチュアル・アビュース」(霊的虐待)という概念によって社会的な理解を促進しようとする動きも始まっています。

去る1月末には、国が児童虐待に対応する児童福祉司などの専門性を高めるため、「子ども家庭福祉」を専門とする新たな国家資格を創設する検討に入ったという報道がありました。

【関連記事】毎日新聞2021年1月31日
「子ども家庭福祉」国家資格創設へ 児童虐待に対応 来年度前半に骨格

いわゆる「児童虐待」については、現状「身体的虐待」「性的虐待」「ネグレクト」「心理的虐待」の4分類に定義されていますが、子供の人格に深い傷を負わせ成長を妨げる「スピリチュアル・アビュース」(霊的虐待)という概念についても、こうした制度設計や教育課程の中において、一定の整理がなされるのを期待したいところです。

カルトの定義が困難なように、一筋縄ではいかぬのは承知の上ですが、できない理由を並べるのではなく、現に今ある虐待から被害者をいかにして救済できるかという方向で、議論が成熟して欲しいと思っています。

【参考記事】

ハーバー・ビジネス・オンライン

終わりなきカルト2世問題の連鎖<短期集中連載・幸福の科学という「家庭ディストピア」1>

子どもたちを振り回す「2世」という鎖<短期集中連載・幸福の科学という「家庭ディストピア」2>

サイゾーウーマン

【幸福の科学学園1期生が語る1】「私は選ばれた人間」と思った――大川隆法氏登場に涙した入学式

【幸福の科学学園1期生語る2】社会科で「霊言」「過去世」の話題も――知られざる授業内容

【幸福の科学学園1期生語る3】異性交遊した生徒は「独房懲罰」!? 鍵のない部屋で息苦しい寮生活

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土矢浩士(ハンドルネーム:アルゴラブ)

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