fc2ブログ

蒼き職員の悩み(その3)

※「蒼き職員の悩み その2」に続く、総合本部の若手職員有志「若い天使の会」(91年7月)の記録より最終回です。

若い天使の会4-2

● まとめ

小林「本部長と事務局は喜んでいた(この集い)。ひとつひとつの言葉の中に愛を込めることの大切さ。情熱がないと、実行段階で」

里村「ピンの発見が急務。千年二千年の悔いを残すな」

平井「仏陀様の思いを受け止めるためにカラを外して」

久米「コミュニケーションの素晴らしさ」

鬼松「大きな夢を抱いていないと愛ではない」

壱岐「会員に恥じないように。人に起因するのであれば言ってほしい」

毛利「自分1人の悩みでないのが確認できた」

石井「会員さんに「話して良かった」と思ってもらえるように」

西川「来れなかった人に伝えたい」

大島「責任とは自分で感じ取ってゆくもの」

高檻「他局の人とも積極的にコミュニケーションをとってゆきたい」

木島「問題はすべてチャンスである。組織としての問題を総合的に解決してゆきたい」

中野「影での苦しみ、本音と建て前、解決へ」

村田「霊言集をもって歩いていたら声をかけられた」

山崎「愛は風の如く。本当に愛があれば風通しは良い」

黒川「まだ、わだかまりはある。救世の情熱を確認できた」

鈴木「「分からない」という標識を取っていくのが職員。会員さんの涙を喜びの涙に」

熊倉「小さな人間になっていたことを発見。作業のための作業を発見。「救世の情熱」」

藤田「幸福の科学の職員に相応しく」

小原「組織を変えていくだけの力を」

谷平「自分はいまどこに立っているのだろう。積極的に私達が声を上げなければ人は付いてこない。常識を変える」

吉田「情熱がゼロならばユートピア価値はゼロ。情熱の火を点けまくっていく」

島「やはり愛だな。愛さえあればすべては解決してゆく。仏陀の悲願を考えた時に息が詰まりそう」

若い天使の会5

(若い天使の会91.7.1)


幸福の科学は、もともとは「正しき心の探求」をモットーに、「偉大なる常識人」を目指して自己研鑽に取り組もうとする人の「人生の大学院」という構想で、それぞれが修養を通じて、世界の恒久的ユートピア化、人類幸福化に奉仕することをスローガンとしていました。

そして「内から外へ、土台から柱へ」と、一宗一派の活動に陥らぬよう安易な勧誘(伝道)を戒めて入会に試験制度を堅持し、また世界ユートピア化も、あくまで「家庭ユートピア」から始まると定義していたのです。

こうした形で、立ち上げ後より徐々にではあるものの順調に会員数を伸ばして来ていた90年5月、唐突に当初5万人、年末までに10万人の伝道達成の号令が下ります。「幸福の生産者を増やす」とか「献本という花束を贈る」などという言い方ではあるものの、主宰者である大川隆法の神聖不可侵さを背景にした会員の総動員による、実質的にエホバの証人のノック伝道や聖教新聞の勧誘と何ら変わらないノルマ達成への上意下達に他なりませんでした。

このあたりから主宰者自身がシレっと宗旨替えをし始めて(あるいは本性を現して)、91年には当初は年末までに100万人の達成が、4月の時点で大川の誕生日(届出日)までに必勝必達の前倒しとなって狂気の大伝道に突き進むことになります。

そしてまた一方で、着々と宗教法人化が進められ、大川への個人崇拝の芽も植えられていきました。職員らの発言の中にサンスクリット語で僧団を意味する「サンガー(サンガ)」というのが目立つのも、そうした理由によるもので、当時の会内のトレンドワードです。

この「若い天使の会」の記録では、全編を通じて大伝道の大失敗による混乱が語られ、幸福の科学には現に信者に対して活動ノルマがあり、またそれが信者を苦しめ押し潰していると、現場の若手職員らが認識をしていた事実を示すばかりでなく、「4月からご真影(本尊と定められた大川の写真)礼拝などの小さな疑問が清算されていないままで突っ走ってきた」という西川という職員の発言にあるように、誰もが一連の幸福の科学の変質を戸惑い葛藤し、決して唯々諾々と受け入れていたわけではないことを生々しく物語ってくれています。

そして、厳密に言って、この頃からが「会員」が「信者」に変わったことになるわけですが、内外の予言や終末観を前提に「目覚めたる者」という選民的な使命感に裏打ちされた「救世への情熱」から独りよがりに思い詰め、でも「上(霊界)では上手くいっている」、だから三次元のレベルで〇〇局長らが悪いなどスケープゴートに帰責させながら、仏陀様は全てを知っている、先生には深いお考えがあるに違いないと忖度して、暗黙のうちに大川への批判を避ける空気が形成され、あくまでも問題の核心にメスを入れられないまま、最後は「愛」の単細胞な結論で締めくくるといった感じの、信者独特の思考性や限界の実際を見られる部分もあります。

「若い天使の会」は、本音で語るという会内ではなかなか画期的な座談会であったものの、単発で終わって、このあと開かれた記録はありません。大川はこの後まもなくフライデー事件を起こし、さらに大伝道失敗を原因にした財務の悪化から会員サービス部というリストラ部署ができて、結局みな散り散りになっていきましたし、また四国本部で起こった職員と会員の蜂起に対する処分から、進言意見はご法度という圧力も感じたことでしょう。

全編を通じて、私個人として最も印象的なのは、文中で筆記者の記録の通りに「木島」と表示している者のコメントです。これは「喜島」の間違いで、会員時代には同じ支部の隣の地区でしたのでよく知る人物です。頭の回転が速く、柔軟でユーモアもあり、センスの良いお洒落な人でした。他の会員からの人望もあったと思います。

その木島(喜島)は座談会の中で、教団の実態を問題視し、「ユートピアづくりに合目的的なものに付くことがサンガー帰依。とことん議論して納得してやるのが法帰依」というコメントをしているのに、現在は幸福の科学学園の校長として、「証明する気などありません 。ただ信じなさい。ただついて来なさい 。私について来なさい」とか、「私よりも父や母を信じ愛する者、私よりもあなたの夫や妻を信じ愛する者、私よりもあなたの子供やあなたの友達や、知り合いや友人や先生を信じ愛する者、あなたがたには光の天使になる資格はない」などといった大川隆法の言葉を、純粋な信仰として子供たちに擦り込むアコギな商売に手を染めているという、こうした変節を目の当たりにすると、あらためて職員という地位も含めて信者を存在不安に晒すことは、教団にとってその色分け、飼いならしに有効なのだろうと考えさせられます。

この座談会に参加した職員らも、辞めていった者、辞めさせられた者、今なお残っている者と様々です。現存する者は、辞めていった者たちを、ただ単に「魔に入られた」と切り捨て思考停止をするばかりですが、彼らと私達とを分けるのは、認知的不協和の処理の仕方の違いであって、結局、教祖の大川隆法の人間性が教団全体を覆っているという単純明快な事実を素直に受け入れられたか否かの差に過ぎません。

以前に、統一教会(世界平和統一家庭連合)から脱会したタレントの飯星景子さんが、ご自身の脱会までの経緯や経験を語られた際、「最後の最後に残っていたのは、プライドという薄い皮一枚だった」というお話をされていたのを覚えています。そのプライドとは、「自分の選択が誤りだった」ということを認めることに尽きます。

このことについては、年齢を問わず自分で選択したという意味での一世に限った話なので、事情の異なる二世三世の方々にとっては参考になるものではないと思いますが、その点はご容赦いただいて、そうした対象者の方と向き合う最中に置かれている方には、理解しておくべきことかと思います。

正しさを求めて、何が間違いかということは明確に分かったはず。時間や諸々、払った代償は高くつき、これから清算をしなければなりませんが、それを求めた以上、それが腑に落ちるまでの間のことは、結果的に自分にとっては授業料だったと考えさせて、プライドを崩された相手に追い打ちをかけないようにしながら、「卒業」を促すというスタンスが、実際の場面で必要になるかも知れません。

【参考リンク】

「飯星景子が統一教会に洗脳?宗教の脱会までの経緯やきっかけ」

「飯星景子が語った“脱会”実体験」

スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

プロフィール

土矢浩士(ハンドルネーム:アルゴラブ)

Author:土矢浩士(ハンドルネーム:アルゴラブ)
セクトの犠牲者である家族と個人を支えるネットワーク
「RSFI MAIKA」代表

日本脱カルト協会
「JSCPR」会員

当ブログへようこそ。
「幸福の科学」の問題を中心に、セクトについて考えていきます。

ご相談等の場合は、リンク先頭の「RSFI MAIKA公式ホームページ」のコンタクトよりご連絡ください。

また、当ブログのコメント欄は非公開設定を選択することができます。悪質な荒らし行為等でない限りは決して公開されませんのでご安心ください。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR