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大川隆法の変死体と幸福の科学の終末

2023年2月28日に東京都港区の大悟館内で倒れて搬送されたのち、蘇生することのないまま3月2日に死亡確認された宗教法人「幸福の科学」総裁の大川隆法の変死体は、いまだに荼毘に付されることなく、教団施設の一角で職員の24時間監視下のもと「チルド」保存されている状態とのことだ。

大川隆法御死体
信濃川画伯作

宗教法人化して以降、独自の喪儀法を打ち出し、信者へ多額の植福を勧進して生前のうちに自身の墓まで建立させておきながら、死後数ヶ月を経てもなお、遺体も教団運営もフリーズ状態であるのには、死の直前の混濁した状況下で語った大川の二つの言葉が、大川自身と教団双方を呪縛していることによる。

その一つは、後継指名していた長女を死の直前になって排斥したこと。
もう一つは、別の後継を示すでもなく、自らの復活を仄めかしたこと。

幸福の科学内においては、いかに些細な(馬鹿げた)事柄であっても大川隆法の言葉であるからには「仏言」である。それは信者にとって神聖不可侵の絶対的なものであり、文字通り受け止め、弟子の分際で恣意的な解釈は許されない。

従って、いったん排斥された系譜の復権はありえないし、また、自ら復活すると言い残されたからには是が非でも遺体を保存し続け、いつとも分からぬその日を黙々と待たなければならない。

これによって、教団はどこへも向かえなくなった。実のところ誰よりも現世への執着が強く、死してなお自らの宗教妄想を満たす道具である信者を逃すまいという辺り、いかにも自己愛的変質者の大川隆法らしい呪いと言えるだろう。

すこぶる気味の悪い話で、常識的に考えて全く理解に苦しむことと思われるが、幸福の科学は本気でこれをやっている。「チルド」保存を選択している点がその証だ。

死後の人体には、自然的に先ず「自家融解」と「腐敗」が起こる。組織や細胞が自身の酵素により分解される一方で、主に消化管からバクテリアによる組織の分解が進んでいく。

こうした中で遺体を保存するということは、端的に言えば腐敗を抑えるということだ。しかしながら、いわゆる「エンバーミング」の場合、遺体の一部を切開して体内の血液や体液、消化器官の残存物等を吸引し、かわって防腐剤を注入して細部まで満たすので、遺体保存法としては丁寧な処理ではあるものの、蘇る前提としては使い物にならない。

腐敗を促進させるバクテリアは10度以下で増殖が遅くなり、マイナス15度以下でほぼ繁殖しなくなることから、本来的には凍結貯蔵(凍蔵)が最適だが、凍結させるにも急速冷凍でなければ体内に氷の塊ができて組織が破壊されてしまうし、解凍時にも注意しなければ大量の水分が流れ出て、一気にカサカサになってしまう恐れがある。

こうした都合から、蘇る前提で生の鮮度をとどめるべく、冷蔵以上に長持ちさせたいものの、冷凍はさせたくないものに対する保存法として、個体が凍り始める寸前の冷却管理「チルド」が選択されたものと考えられる。

人為的な加工または自然条件による乾燥によって長期間原型を留めるミイラ化した遺体や、自然環境下での湿潤状態かつバクテリアが繁殖しない条件が揃った際に、体内の脂肪が蝋状に変質して永久死体となる死蝋化した遺体を、宗教上の動機から即身仏や不朽体として保存し、崇敬の対象とすることは現代でも行われている。

特に死蝋化については、その奇跡的な状態が「聖人の遺体は腐らない」という迷信を強化し、不朽体の概念を捻じ曲げてきた側面もあるように思う。

だが、「現象には必ず理由がある」と考えられるようになった近代においては、先人への敬意を払いながらも、あくまで理性的に自然法則を度外視することはまずないだろう。

けれども、幸福の科学が目指しているのは、そうした崇敬の理由からではなく、あくまで急病のため頓死した大川隆法の変死体の完全な復活を想定しての対応なのだ。

90年代、今世と来世を貫く幸福の理法探究を目的として、「偉大なる常識人」の育成を掲げていた穏健な学習コミュニティは、今や人の死という真理探究の“イの一番”というべき現実とさえ向き合えないほど常軌を逸したカルト宗教に変質しきった。

ロシアの文豪フョードル・ドストエフスキーが記した「カラマーゾフの兄弟」の終盤では、物語の中で主人公らの規範となっていたゾシマ長老という宗教者の死によって生じた混乱の描写がある。

甚だ雑駁で恐縮であるが、その部分を簡単に表現すると、ゾシマ長老が物語の中で病気のために死亡したとき、聖人は死んでも遺体は腐敗することなく、芳しい香りすら漂うものという観念から、ゾシマ長老ほど立派で聖人に列せられうるような人物であれば奇跡が起こるかもという期待が人々の間に拡がるが、実際はたちまち酷い腐敗臭を放ち、ある者は絶望し、ある者は蔑みと、様々な感情や打算が入り乱れて、ゾシマ長老の遺徳も危ぶまれる状況に陥るという展開だ。

本作については、高校時代に現代文の先生から名著のひとつとして習った覚えがあるが、文学に関心の薄い私は殆ど聞き流していた。「カラマーゾフの兄弟」の中で、このゾシマ長老の話は解釈困難な部分があって、文学ファンの間でも通称「ゾシマ越え」と言われる難所であるらしい。

難解な文学的議論はさておき、今回、死蝋化や不朽体について考えている最中に、改めてこのゾシマ長老のエピソードに触れるきっかけを得たとき、ゾシマ長老と大川隆法との質含めシチュエーションには雲泥の差があるものの、権威者の死から始まる認知的不協和の構図が幸福の科学の現況と重なって感じられる部分があった。

教団は信者に、「総裁先生の御神体は腐敗することなく、生前のお姿のまま安置されています」などと呑気なことを言っているようだが、電源に依存し冷却機械の管理によって腐敗を免れているに過ぎず、遺体の破壊は刻一刻と進み、病死して司法解剖を経た変死体の保存期限を延ばす決定的な効果はないのだ。

「大川隆法は死んだ」という客観的な状況で判断できないのだろうか。腐敗臭を嗅ぐか、変質した遺体を目の当たりにしないと悪い夢から目が覚めないか。

もうこの辺りが本当に最後だと思う。果たして、ここで「タカシ越え」をして日常に戻れる信者がどれくらい残っているだろうか。

この期に及んで現実検討力のない現役信者には、さすがにもう手の施しようがない。

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プロフィール

土矢浩士(ハンドルネーム:アルゴラブ)

Author:土矢浩士(ハンドルネーム:アルゴラブ)
セクトの犠牲者である家族と個人を支えるネットワーク
「RSFI MAIKA」代表

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