署名活動への御礼とこの先のカルト対策へ向けて
2022年10月17日よりWeb署名サイト「Change.org」にて始まった「統一教会(世界平和統一家庭連合)」の解散を求めるキャンペーンは、12月8日までに20万4847筆を集め、翌9日に教団の解散命令を裁判所に請求するよう求める永岡桂子文科相宛ての申入書と共に文化庁担当者に提出されました。

私も「MAIKA」を代表し当キャンペーンの呼びかけ人の末席に加えて頂きましたが、20万人を超える成果は望外の喜びであり、有志の一筆一筆に衷心より感謝を申し上げます。
私が幸福の科学を脱会してかれこれ30年、それ以前からも既に統一教会はじめ様々なカルト問題は存在し、問題が生じる度に一時的にはメディアで報道されるものの、しばらくすると波が引くように世間の人々の言の葉に上らなくなる状況を繰り返し見てきて、カルト問題について警鐘を鳴らし続けることの困難さと、その妨げとなっているものの本質が「無関心」であることを痛感してきました。
当時と異なり、現在はSNSが発達したことで当事者が直接に情報発信を行うことができ、メディアがそれを後追いするという変化も、この成果の一因ではあったと思いますが、何より今回このキャンペーンを通じて得た手ごたえは、カルト問題を「他人事」ではなく「我が事」として受け止めて考えて下さる人々が確実に増えたと実感できたことです。
20万人という数は日本の総人口からすれば僅かだとしても、これが今後この日本においてカルト包囲網を形成していくための強固な『核』となる人々の集合だとすれば、この事実には何倍もの意義があると思います。
Change.org Japan(チェンジ・ドット・オーグ)
署名は一応の達成をみましたが、解散請求の是非は年越しされる見込みで、また先の国会でまとまった統一教会の被害者救済法案も、長年に渡ってカルト被害の救済に従事してきた弁護団曰く「ないよりはマシ」程度の評価に過ぎず、実効性に甚だ疑義の残る状況であることを考えると、統一教会のみならずカルト問題はまだ全く解決の入り口に立っていません。
カルト問題について、政治的に30年以上ほったらかしにしてきたばかりでなく、そのカルトと蜜月の関係を促進してきた張本人と、カルト性を指摘されている団体を支持母体としているような現政権では、根本的な解決へ向けた動きのボトルネックになるであろうことは想定内のことでした。
ゆえに戦いは始まったばかりであり、いったん灯った火花を絶やさず二度と時計の針を戻すことのないように、被害当事者や信者ご家族等で予てからこの問題に関わる方々は、ご自身が燃え尽きてしまわないように注意しながら、ここから先も静かに気力を維持し続けていく覚悟が必要でありましょうし、何より先ずメディアにはカルト問題に関する報道で絶対に委縮しないことを求めたいと思います。

また、社会的な課題として考えたとき、宗教2世の人権というカルト問題の側面に直面するまでカルト対策の必要性への議論が停滞したままでいたのは、過去に何度もカルト問題が表面化しても、そのたび軽薄な自己責任論と信教の自由という盾を前に思考停止して、人権感覚が成熟しなかったのがひとつの原因ではないかと考えています。
カルトの問題は宗教の問題ではなく人権の問題です。
カルト問題には、高額献金や公の福祉を害する言動等による個人の人生の破綻、延いては家族の破壊などの側面がありますが、そうした様々な外形的弊害をもたらすカルト信仰を機序とした被害を煎じ詰めていくと、その害悪の最たるものは、教理を介した心理操作による人格の愚鈍化であると思います。
自己選択権を阻害されてきた2世は勿論のこと、自ら入信した1世であろうと、日常に引き返せなくなるほどに主体性を揺るがされて存在不安に追い込まれ、理性的な判断ができなくなるまで愚鈍化されるということもまた、人の尊厳を歪める深刻な人権侵害なのだという一定の社会的コンセンサスが形成されるようになるには、日常の人権教育の中で、あるいはそれに絡めた部分で、例えば学校教育の現場で予防的なカルト問題の学習を取り入れるなど、様々な機会を通じて人権感覚を底上げしていく必要性を感じます。
カルトによる被害拡大を撲滅し救済を急ぎたいのは皆同様ですが、カルト問題に対する色々なアクションの中にも、およそ人権感覚を土台にしているとは思えない場面も散見され危うさを感じる時もあります。
安直で乱暴な行動はやがて必ず歪みます。だからこそ出発点を間違えずに、忍耐強く堅実なプロセスを愚直に守って、カルト問題の「予防・抑止・取締・救済」といった諸課題に対し優先順位をつけながら、それぞれの対策をより実効性のあるものへと、少しずつでも議論を深めて着実にブラッシュアップしていくべきではないかと思っています。
今日よりもマシな未来を招くには、明日への責任を担った一人一人が、遅々とした歩みでも良い種を地道に蒔いていくほかにないからです。
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「統一教会の解散を求める署名にご支援を」

私も「MAIKA」を代表し当キャンペーンの呼びかけ人の末席に加えて頂きましたが、20万人を超える成果は望外の喜びであり、有志の一筆一筆に衷心より感謝を申し上げます。
私が幸福の科学を脱会してかれこれ30年、それ以前からも既に統一教会はじめ様々なカルト問題は存在し、問題が生じる度に一時的にはメディアで報道されるものの、しばらくすると波が引くように世間の人々の言の葉に上らなくなる状況を繰り返し見てきて、カルト問題について警鐘を鳴らし続けることの困難さと、その妨げとなっているものの本質が「無関心」であることを痛感してきました。
当時と異なり、現在はSNSが発達したことで当事者が直接に情報発信を行うことができ、メディアがそれを後追いするという変化も、この成果の一因ではあったと思いますが、何より今回このキャンペーンを通じて得た手ごたえは、カルト問題を「他人事」ではなく「我が事」として受け止めて考えて下さる人々が確実に増えたと実感できたことです。
20万人という数は日本の総人口からすれば僅かだとしても、これが今後この日本においてカルト包囲網を形成していくための強固な『核』となる人々の集合だとすれば、この事実には何倍もの意義があると思います。
「傍観者であることをやめた人たちがいます。今回署名をしてくれた20万人の人たちです」#統一教会の解散を求めます 署名呼びかけ人の1人、 #エホバの証人 2世のiidabiiさん。@iidabii_ 20万を超える賛同者の1人1人が希望だと感謝を伝え、解散命令の必要性を改めて政府に訴えました。
— Change.org Japan(チェンジ・ドット・オーグ) (@change_jp) December 11, 2022
署名はツリー👇 pic.twitter.com/1c9tFb3vid
Change.org Japan(チェンジ・ドット・オーグ)
署名は一応の達成をみましたが、解散請求の是非は年越しされる見込みで、また先の国会でまとまった統一教会の被害者救済法案も、長年に渡ってカルト被害の救済に従事してきた弁護団曰く「ないよりはマシ」程度の評価に過ぎず、実効性に甚だ疑義の残る状況であることを考えると、統一教会のみならずカルト問題はまだ全く解決の入り口に立っていません。
カルト問題について、政治的に30年以上ほったらかしにしてきたばかりでなく、そのカルトと蜜月の関係を促進してきた張本人と、カルト性を指摘されている団体を支持母体としているような現政権では、根本的な解決へ向けた動きのボトルネックになるであろうことは想定内のことでした。
ゆえに戦いは始まったばかりであり、いったん灯った火花を絶やさず二度と時計の針を戻すことのないように、被害当事者や信者ご家族等で予てからこの問題に関わる方々は、ご自身が燃え尽きてしまわないように注意しながら、ここから先も静かに気力を維持し続けていく覚悟が必要でありましょうし、何より先ずメディアにはカルト問題に関する報道で絶対に委縮しないことを求めたいと思います。

また、社会的な課題として考えたとき、宗教2世の人権というカルト問題の側面に直面するまでカルト対策の必要性への議論が停滞したままでいたのは、過去に何度もカルト問題が表面化しても、そのたび軽薄な自己責任論と信教の自由という盾を前に思考停止して、人権感覚が成熟しなかったのがひとつの原因ではないかと考えています。
カルトの問題は宗教の問題ではなく人権の問題です。
カルト問題には、高額献金や公の福祉を害する言動等による個人の人生の破綻、延いては家族の破壊などの側面がありますが、そうした様々な外形的弊害をもたらすカルト信仰を機序とした被害を煎じ詰めていくと、その害悪の最たるものは、教理を介した心理操作による人格の愚鈍化であると思います。
自己選択権を阻害されてきた2世は勿論のこと、自ら入信した1世であろうと、日常に引き返せなくなるほどに主体性を揺るがされて存在不安に追い込まれ、理性的な判断ができなくなるまで愚鈍化されるということもまた、人の尊厳を歪める深刻な人権侵害なのだという一定の社会的コンセンサスが形成されるようになるには、日常の人権教育の中で、あるいはそれに絡めた部分で、例えば学校教育の現場で予防的なカルト問題の学習を取り入れるなど、様々な機会を通じて人権感覚を底上げしていく必要性を感じます。
カルトによる被害拡大を撲滅し救済を急ぎたいのは皆同様ですが、カルト問題に対する色々なアクションの中にも、およそ人権感覚を土台にしているとは思えない場面も散見され危うさを感じる時もあります。
安直で乱暴な行動はやがて必ず歪みます。だからこそ出発点を間違えずに、忍耐強く堅実なプロセスを愚直に守って、カルト問題の「予防・抑止・取締・救済」といった諸課題に対し優先順位をつけながら、それぞれの対策をより実効性のあるものへと、少しずつでも議論を深めて着実にブラッシュアップしていくべきではないかと思っています。
今日よりもマシな未来を招くには、明日への責任を担った一人一人が、遅々とした歩みでも良い種を地道に蒔いていくほかにないからです。
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